CLIMATE CHANGE 気候変動

気候変動に対する考え方

気候変動は国際社会における主要な課題であり、当社が重視する経営課題の一つです。当社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に対し、当社の気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、持続可能な成長に向けて、成長機会の取り込み及びリスクへの対応を行っていきます。

TCFD提言への対応

ガバナンス

気候変動関連のリスク及び機会についての取締役会による監督体制

当社は、「社会の変化に対応し、会社経営の安定と発展に努め、社会に貢献する」ことを経営理念に掲げています。

また、2050年までに目指す姿として「100年企業として環境・安心・安全でサステナブルな社会に貢献する」ことをビジョンとしています。この理念とビジョンの実現のため、気候変動を含むサステナビリティ課題を所管するサステナビリティ委員会を設置しています。

 カーボンニュートラルへの取組みの加速が問われているお客さまからのニーズ及び自社の温室効果ガス排出に対する責任を自覚し、気候変動への対応を経営の重要課題と位置づけ、サステナビリティを重視した経営を行います。サステナビリティ委員会の委員長は取締役社長、委員は役付執行役員で構成しており、気候関連の重要事項はサステナビリティ委員会において審議後、取締役会に原則として年1回以上報告され、サステナビリティ課題について検討していきます。

気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割

当社は、お客さまのカーボンニュートラルに関するニーズをスピーディに対応するため、経営層が深く関わって気候関連課題の実効性管理を行います。具体的には、気候関連問題の責任者である取締役社長がサステナビリティ委員会において課題の進捗を管理し、必要に応じて各部門、支社・グループ会社に指示し、監督します。

 また当社独自のトータルカーボンマネジメント(TCM)により温室効果ガス排出量及び削減貢献量を可視化、国内外の事業所の活動を推進するとともに、お客さまに提供する商品・サービスを通じて気候変動の抑制に貢献していきます。活動の進捗状況はサステナビリティ委員会によって審議され、取締役会に報告後、取締役会から対策が指示され、気候関連課題の実効性を高める監督体制としています。

戦略

気候変動に関するリスクと機会の時間軸(短期・中期・長期)

当社のお客さまであるエレクトロニクス業界のメーカーにとって、カーボンニュートラルは喫緊の課題であり、また「事業創出会社」を目指す当社にとっては気候変動に対応した商品やサービスの提供は好機であると考えます。このため、環境規制の動向と市場の変化を注視し、戦略や業務への影響を検討、冷熱ビルシステムでは省エネ性能が高い商品の提供を強化し、FAシステムでは生産効率を改善するシステムの提供強化を進めていきます。

 中期的には、脱炭素実現に向かって活動するお客さま、仕入先メーカーとの対話を通じて技術開発に貢献するなどし、脱炭素対応の新規商品の提供を加速させていきます。こうした「気候変動による好機のリスクと機会」に対して、次のとおり時間軸を設定し、活動を推進していきます。

短期 省エネ性能のより高い商品・サービスへの需要に素早く対応するとともに、事業活動に伴う環境負荷の低減を含む事業環境の短期的な変化への対応を進めます。
中期 気候変動リスクに対して脱炭素社会への取り組みを強化し、製品ライフサイクル全体にわたってより環境負荷の少ない商品・サービス(ソリューション)を創出することを目指します。
長期 脱炭素社会においてあるべき「きわめてCO2排出量が少ない商品・サービスや気候変動への適応のための商品・ サービス」を中核事業として育成・拡大していくことを目指します。
  • 短期 0-2年未満、中期 2~8年未満、長期 8~28年
気候関連のリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響
重大なリスクに対する考え方

中期経営計画「ICHIGAN 2024」では、収益力強化のための「構造改革」の実践とデジタルトランスフォーメーションの推進を戦略テーマに掲げ、「利益ある持続的成長」によるサステナブルな社会の実現に貢献する企業への進化を目指し、経営目標の中でも「営業利益」を特に重要な指標として認識しています。

 また当社の事業は、仕入先からの製品調達やビジネスネットワーク構築など「サプライチェーン」と深いかかわりを持つビジネスモデルにより確立されています。こうした理由から、気候変動リスクが当社の財務面・戦略面に与える重大な影響を検討する際、グローバルなサプライチェーンの責任ある一員として、自社のみならずサプライチェーンも含めた影響を考慮しています。

重大なリスクの定義

気候変動に伴う自然災害等の物理的リスクの高まりにより、当社及びサプライチェーンにおいて物流の寸断や、調達可能な製品及び重要な材料・部品が入手困難な状況に陥った場合、その影響は調達コストや管理コストの上昇を引き起こし、当社の営業利益を圧迫する可能性が考えられます。なお、財務への重大な影響についての定量的な判断基準は、営業利益額への10%程度と考えています。

リスク
移行リスク 対策 時間軸
評判
  • 低炭素・脱炭素へ貢献できる商品・サービスの提供の遅れによる社会的評価の低下
  • 仕入先メーカーやパートナーと協働し低炭素・脱炭素への対応が可能な商品・サービスへ移行するための技術開発を実行
短期
規制
  • 温室効果ガス排出規制の強化による管理コストの増加
  • 炭素税の導入による販売数量の減少。特に生産時に大量のエネルギーを消費する半導体デバイスでは影響大
  • サステナビリティ委員会が規制の動向をモニタリング。遅滞なく対応
  • 仕入先メーカーに対して事業領域をまたいで高効率冷熱ビルシステムや生産効率化のためのFAシステム導入を提供するなどして影響緩和に貢献
中期
技術
  • 低炭素社会への急激な移行に対応する先進技術の開発の遅れによる低炭素型商品・サービスの販売機会の喪失
  • サステナビリティ委員会が事業部と連携し、低炭素社会に向けて必要とされる技術水準の動向をモニタリング
中期
市場
  • 市場のニーズの変化による低炭素・脱炭素への対応が難しい商品・サービスの販売数量の減少
  • 仕入先メーカーやパートナーと協働し低炭素・脱炭素への対応が可能な商品・サービスへ移行するための技術開発を実行
長期
物理的リスク 対策 時間軸
  • 自然災害によるサプライチェーン(製造工場や倉庫)の被災による生産・販売活動の停滞と売上の減少
  • 自然災害の予兆を感知し、緊急対策をとる体制構築
中期
機会
機会 事業への影響と戦略 時間軸
  • 夏季の気温上昇や冬季の極端な低温化による空調機器の需要拡大
  • 冷熱ビルシステムでの各種空調設備の販売機会の増加と省エネ性能の向上した商品の提供によるCO2排出量抑制の実現
短期
  • 生産工程のCO2排出量抑制のニーズの高まり
  • 生産効率・エネルギー効率の改善に寄与するFAシステムの事業拡大と売上の伸長
中期
  • 安定した農産物の生産の実現に対するニーズの拡大
  • 自社の省エネ型次世代植物工場での付加価値の高い安全な野菜の安定的な生産・販売による事業拡大と売上の伸長
短期

リスク管理

気候関連リスクはサステナビリティ委員会で、その他経営に係るリスクはリスクマネジメント統括委員会で検討し、経営会議、取締役会に報告され、取締役会がこれをモニタリングします。また、特定された重大なリスクや特定された気候関連リスクの具体的な管理はサステナビリティ委員会の下部組織のワーキンググループが担当し、各部門・支社・グループ会社に対して指示・監督します。サステナビリティ委員会はワーキンググループへの指示・監督を行い、その実行状況は委員長により経営会議・取締役会に報告され、取締役会がこれらをモニタリングし、監督しています。なお、特定された重大なリスクや機会は、年1回、対応策の策定・見直し、承認、進捗確認を実施しています。

気候関連リスク及び機会を管理するために用いる目標、及び目標に対する実績
温室効果ガス排出量目標

気候変動への対応が重要な社会課題であると認識し、すべての自社内における事業活動に伴う温室効果ガス排出量を2030年度までに2021年度比で100%削減する目標を策定しました。

目標値を設定した理由 グループ環境ビジョンで掲げている「2030年までに電力使用による温室効果ガス排出量をゼロにする」という目標の実現及び社用車への非化石燃料車(電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV))の100%導入により、Scope1・2を100%削減することが可能となります。この目標はSBT基準及び政府目標を達成することができます。
対象範囲 当社単体+国内連結対象会社(ブロックファーム除く) 【Scope1・2対象】
  • 再生可能エネルギーによる電力の目標設定
    脱炭素社会の実現に貢献するため、事業活動において使用する電力を当社が運営する栗原太陽光発電所(宮城県栗原市)由来のトラッキング付き非化石証書を利用し、2030年度までに電力使用による温室効果ガス排出量をゼロにします。
  • その他の気候関連目標
    2030年までに、非化石燃料車(電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV))の100%導入により、温室効果ガスの排出をゼロにします。
  • 排出削減活動
    事業活動における電力・燃料消費で排出する温室効果ガス排出量より販売した製品使用時の温室効果ガス排出削減の貢献量が上回ることを目指した「トータルカーボンマネジメント」(TCM)を導入し、2018年度から活動を続けています。2021年度は、事業活動で排出された温室効果ガスが1,054t-CO2に対し、販売した製品使用時の温室効果ガス排出削減貢献量が8,286t-CO2となり、温室効果ガスの「排出削減貢献量」が当社の事業活動で「排出された温室効果ガスの排出量」を大きく上回りました。
  • 排出削減活動の促進
    当社の温室効果ガス排出量削減の大きな活動であるトータルカーボンマネジメント(TCM)では、使用時の温室効果ガス削減貢献に寄与する製品の拡販が活動の成否を左右します。そこで、目標を大きく達成して温室効果ガス削減活動の成果を発揮した社員・組織に褒賞金を提供する表彰制度を導入しています。
  • 排出削減に貢献できる製品・サービス
    FAシステム お客さまの生産効率・エネルギー効率の改善及びそれに伴う温室効果ガス排出量抑制に寄与します。
    冷熱システム オフィスや生産現場、物流工程など、様々な現場に向けて、各種設備機器から空調、クリーンルームなどのトータルソリューションを通じ、省エネ性能の向上によるエネルギー効率化及びそれに伴う温室効果ガス排出量抑制を実現していきます。
    省エネルギー型
    次世代植物工場
    人工光型植物工場は自社開発の熱還流環境制御システムや全量自家消費メガソーラーを併設するなどして、省エネルギー型次世代植物工場として脱炭素社会の実現に貢献し、気候変動による異常気象の影響を防ぎ安定した農産物の生産を実現していきます。